建設現場で欠かせない存在となっている足場ですが、2023年8月の法改正によって、足場事業をめぐる環境が大きく変わりつつあります。

この法改正の最大の目的は、足場の安全性を高めることにあります。

これまで足場の設置や管理は建設会社の責任でしたが、専門性が不足していたことが問題視されていました。

事故やトラブルが後を絶たず、労働者の命を守るためには足場の専門家を配置する必要があると判断されたのです。

そのため、新たに「足場組立作業主任者」の配置が義務化されました。この資格を持つ者は、足場の組み立て方や強度の確認など、高度な知識と技術が求められます。

建設会社はこうした有資格者を確保する必要があり、人件費の増加につながっています。

同時に、労働者の安全対策も強化されています。従来は任意だった「フルハーネス」の着用が、現場での転落事故防止のため、義務化されました。

フルハーネスは高所作業時の安全を確保する装置で、正しい着用方法を習得する必要があります。

このように、足場事業をめぐる環境は大きく変化しつつあります。建設現場の安全性が高まる一方で、事業者には人材確保やコスト増加といった課題も生じています。

足場組立作業主任者の育成や、フルハーネスの適切な使用など、安全管理の強化は避けられない流れです。

今後は、事故ゼロを目指すべく、関係者全員が連携して取り組んでいく必要があるでしょう。

一方で、こうした変化は足場事業者にも大きな影響を及ぼします。高度な技術と知識を持つ人材の確保が求められるほか、設計から施工、点検管理まで一貫したサービス提供が重要になっています。

足場事業は法改正を機に大きな転換期を迎えています。建設現場の安全性向上と事業の効率化を両立させるため、関係者全員が知恵を絞り、対応を進めていく必要があるのです。