マンションを購入する際、皆さんはどこを重視しますか? 立地や間取り、価格などに目がいきがちですが、実は、建物の基礎にも注目する必要があります。
基礎は目に見えない部分ではありますが、マンションの安全性と耐久性を大きく左右する重要な役割を担っているのです。
せっかく高額な買い物をするのですから、基礎の良し悪しもしっかりチェックしたいものですよね。
そこで今回は、マンションの基礎について、その種類と特徴を詳しく解説していきます。
安心して長く暮らせるマンションを選ぶためのポイントを、ぜひ知っておいてください。
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マンションの基礎とは建物を支える構造体のこと
マンションの基礎とは、文字通り建物の土台となる部分のことを指します。 地面に接している部分の構造体が、上部の建物全体を支えている状態です。 重量のあるマンションを安定して支えるためには、地盤にかかる荷重を適切に分散させる必要があります。 その役割を担っているのが、基礎なのです。
基礎の構造は、大きく分けて2つのタイプがあります。 1つは、地盤の上に直接基礎を置く「直接基礎」。 もう1つは、杭を打ち込んで支持層まで届かせる「杭基礎」です。 前者は比較的地盤のしっかりした場所で、後者は軟弱地盤など条件の悪い場所で用いられることが多いです。
マンションの規模が大きくなればなるほど、より強固な基礎が求められます。 高層マンションともなれば、数十mもの杭を打ち込むケースも珍しくありません。 反対に、小規模な低層マンションでは、直接基礎で十分な場合もあるでしょう。
いずれにせよ、マンションの基礎は、建物の性能を大きく左右する重要な要素です。 ひとたび地震などの災害が起これば、基礎の強度が建物の明暗を分けることにもなりかねません。 だからこそ、しっかりとした基礎工事が行われているかどうかを確認しておくことが大切なのです。
基礎の種類と工法については、次の章でもう少し詳しく見ていきましょう。 適材適所の基礎が選ばれ、入念な施工が行われていることを願いたいですね。 マンション選びの際は、ぜひ基礎の部分にも注目してみてください。
マンションの直接基礎の種類は3つ
直接基礎とは、堅固な地盤の上に直接基礎を設置する工法のことです。 比較的安定した地盤であれば、杭を打たずにこの工法を採用できるのが特徴です。 直接基礎には、その形状によって主に3つの種類があります。 それぞれの特徴を見ていきましょう。
ベタ基礎
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ベタ基礎は、建物の底面全体にコンクリートを敷き詰める工法です。 スラブ状の基礎版を地面に直接設置するため、荷重を広い面積で受け止められるのが最大の利点。 建物の不同沈下を防ぐ効果が高いと言えます。
ただし、大量のコンクリートを使用するため、工事費用が割高になる傾向にあります。 また、湿気対策が必要なことも留意点の1つ。 基礎下の空間に湿気がこもりやすいため、換気設備を設けるなどの工夫が求められます。
布基礎
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布基礎は、建物の外周部と内部の壁下にのみ、帯状に基礎を設ける工法です。 部分的に基礎を配置するため、ベタ基礎よりもコンクリートの使用量を抑えられるのが特徴。 内部の床下は土間になるため、湿気対策も容易だと言えます。
とはいえ、外周部での荷重集中を避けるのが難しいのがデメリット。 安定した地盤であることが求められるため、採用できる現場は限定的です。 また、内部の土の沈下により、床面にひび割れが生じるリスクもあることには注意が必要でしょう。
独立基礎
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独立基礎は、建物の柱の直下にだけ基礎を配置する工法を指します。 必要最小限の箇所にのみコンクリートを打設するため、工事費を大幅に抑えられるのが最大の利点。 とりわけ小規模な建物では、コストメリットが大きいと言えます。
ただし、建物の規模が大きくなると、柱への荷重集中が高まるリスクが。 地盤への負担も大きいため、支持力の高い地盤でないと採用が難しいのが現状です。 現在のマンション建築では、あまり多くは用いられていないのが実情と言えるでしょう。
以上のように、直接基礎にはそれぞれ一長一短があります。 地盤の状態や建物の規模、予算など、様々な条件を考慮しながら、最適な工法を選定することが求められます。 基礎の専門家だけでなく、建築主となるデベロッパーや設計者とも緊密に協議を重ねることが、理想的な基礎づくりのカギを握るのです。
マンションの杭基礎の種類は3つ
一方、軟弱地盤など直接基礎での施工が難しい場合は、杭基礎を採用することになります。 杭基礎とは、地中深くまで杭を打ち込み、支持層まで到達させる工法のこと。 マンションのような中・大規模建築では、杭基礎が用いられるケースが多いです。 その工法は、大きく分けて以下の3種類があります。
場所打ち杭工法
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場所打ち杭工法は、建設現場で杭を製造し、地中に打ち込む方式です。 まず、杭を建て込む箇所を掘削機で穿孔。 そこに鉄筋かごを吊り込んだ後、コンクリートを流し込んで杭を完成させます。 杭の長さを自由に調整できるのが最大の利点と言えるでしょう。
ただし、現場での作業が多くなるため、工期が長引きがち。 また、周辺環境への配慮が必要なことも、デメリットの1つに挙げられます。 特に都心部では、騒音や振動の影響が懸念されるため、施工には細心の注意が求められます。
既成杭工法
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既成杭工法は、工場である程度加工された杭を現場に持ち込み、打ち込む方式です。 コンクリート製や鋼管製の杭が一般的で、品質の均一性が高いのが特徴。 現場での作業が削減できるため、工期の短縮も見込めると言えます。
とはいえ、大型の杭を遠方から運搬する必要があるため、コスト面での負担は小さくありません。 また、杭の長さに制約があることも、この工法の弱点の1つ。 あまりに軟弱な地盤では、支持層まで到達できないケースもあるでしょう。
鋼管杭
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鋼管杭は、鋼管を用いて杭を製造する工法です。 杭先端部にドリル状の刃を取り付け、回転させながら地中に貫入させていくのが一般的な手順です。 硬質な地盤への対応力が高いため、支持層が深い場所でもおおむね施工可能。 コンクリート杭に比べ、細長い杭でも施工できるのも利点の1つです。
ただし、施工時の騒音や振動が大きいのが難点。 住宅地の近くでは、周辺への配慮から採用が難しいこともあります。 また、コスト面でもやや割高になりがちなのが現状と言えるでしょう。
以上のように、杭基礎にもいくつかの工法があり、それぞれ一長一短があるのが実情です。 地盤調査の結果を踏まえ、建物の規模や用途、施工条件などを総合的に勘案しながら、最適な工法を選定することが肝要。 長く使い続けられる建物づくりのためには、基礎選びも慎重に行いたいものですね。
マンションの基礎工事の工程を7ステップで解説
では、実際のマンション建設における基礎工事は、どのような手順で進められるのでしょうか。 ここでは、その工程を大きく7つのステップに分けて解説します。 工事の流れをイメージしながら、ぜひ読み進めてみてください。
1.地縄張り・遣り方工事をする
基礎工事の第一歩は、「地縄張り」と呼ばれる測量作業から始まります。 建物の配置や形状を現地で再確認し、杭や基礎の位置出しを行うのがこの工程です。 同時に、基準となる高さを決める「遣り方工事」も実施。 水平器などを用いて、正確な水平を出すのがポイントです。
2.掘削工事をする
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測量が終われば、いよいよ基礎を設置するための掘削工事へ。 建物の規模に応じて、大型の重機を投入して掘り進めていきます。 この工程は 地盤の状態に大きく影響されるため、事前のボーリング調査などで入念な検討が欠かせません。 また、掘削時に地下水が出てきた場合は、適切な排水処理も必要です。
3.砕石を敷く
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掘削が完了したら、掘削面を平らに均して、砕石を敷き詰める作業を行います。 これにより、土の中の水分を排出するとともに、地盤を安定させる効果が期待できます。 砕石の厚さは、建物の規模や地盤の状態によって異なりますが、通常10~20cm程度が目安。 重機を用いて丁寧に敷き均すことが肝心です。
4.捨てコンクリートを流す
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砕石を敷き終えたら、いよいよコンクリート工事の段階へ。 まずは、「捨てコンクリート」と呼ばれる粗いコンクリートを打設します。 これは、その上に本設のコンクリートを打つための 下地となる層。 コンクリートが地面に接しないようにするための中間層とも言えます。 厚さは10~20cm程度で、表面をきれいに均すのがポイントです。
5.配筋・検査をする
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捨てコンクリートが固まったら、基礎に必要な鉄筋を組み立てていく「配筋工事」を行います。 設計図に基づいて、規定の太さと本数の鉄筋を正確に配置するのがこの工程のミッション。 配筋が終われば、検査機関による「配筋検査」を受審。 合格すれば、いよいよ型枠工事とコンクリート打設の段階へと進みます。
6.型枠を設置してコンクリートを打設する
配筋検査に合格したら、基礎の型となる「型枠」を組み立てていきます。 型枠には 木製や金属製のものが使われ、コンクリートが外に漏れ出さないよう固定します。 型枠が完成したら、いよいよコンクリートを流し込む「打設」の工程へ。 基礎全体に均一に行き渡るよう、適切な速度で丁寧に打設していくことが重要です。
7.型枠を外して仕上げの確認をする
コンクリートの打設から数日後、コンクリートが固まったことを確認して型枠を外します。 そして、ひび割れや剥がれなどの不具合がないかどうかを確認。 問題がなければ、これで基礎工事は完了です。 最後に、土を埋め戻して周囲を整地すれば、いよいよ上部工事のスタートです。
以上が、マンション基礎工事の基本的な流れとなります。 各工程の 品質管理を徹底し、工程間の連携を密に取ることが何より大切。 上部構造を支える重要な役割を担う基礎だけに、妥協のない施工が求められるのです。 建物の安全性を支える縁の下の力持ち。 その役割の重さを心に刻みながら、これからのマンション選びに役立てていただければ幸いです。
マンションの構造体は3種類
基礎工事の種類と並んで、マンション選びの際に重要なのが、建物の構造体です。 構造体とは、建物の骨格となる部分のこと。 その種類によって、建物の強度や耐久性が大きく変わってきます。
ここでは、マンションの構造体の3つのタイプについて解説します。
S造(鉄骨造)
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S造は、建物の骨組みに鉄骨を使用した構造のこと。 柱や梁といった主要な構造部分に、鋼材を用いるのが特徴です。 軽量で強度が高く、施工の自由度も高いため、中高層マンションに多く採用されています。
S造の最大の利点は、工期の短さにあります。 工場である程度加工された鉄骨を現場で組み立てるため、RC造などに比べ、工事の進捗が早いのです。 また、間取りの自由度も高いため、多彩なプランニングが可能。 デザイン性の高い外観を実現しやすいのも、S造ならではの魅力と言えます。
ただし、鉄骨は熱に弱いのが玉に瑕。 火災時の耐火被覆が必須となるのは、S造の弱点の1つです。 また、遮音性能もRC造などに比べると若干劣る傾向にあるため、騒音対策には工夫が必要。 室内の柱も目立ちやすいため、デザイン面でも一工夫が求められます。
RC造(鉄筋コンクリート造)
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RC造は、コンクリートの中に鉄筋を組み込んだ構造のこと。 現在のマンション建築では、最も一般的な工法と言えるでしょう。 高い強度と耐久性を兼ね備えているため、高層マンションにも広く採用されています。
RC造の最大の利点は、優れた耐火性能にあります。 コンクリートに覆われた鉄筋は、火災時の高熱にも耐えられる構造。 メンテナンスも比較的容易で、長期的な維持管理コストを抑えられるのも大きな魅力です。
また、RC造は遮音性にも優れているため、都心の住宅地などでも好んで用いられています。 プライバシーの確保や快適な生活環境の実現に、RC造は最適と言えるでしょう。
とはいえ、施工には時間がかかるのがRC造の弱点。 現場での型枠工事や鉄筋の組立てに手間を要するため、工期が長期化しがちなのが玉に瑕です。 また、内装の自由度がやや低いのも悩ましいところ。 柱や梁の位置が制約となるため、思い通りのプランニングが難しいケースもあります。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
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SRC造は、S造とRC造のハイブリッドとも言える構造方式。 鉄骨の芯材にコンクリートを巻いた柱や梁を用いるのが特徴です。 高強度と高耐火性を両立できるため、超高層マンションに適した構造と言えるでしょう。
SRC造の利点は、何と言ってもその高い安全性能。 地震などの災害にも強く、長期的な耐久性も期待できます。 また、ある程度の デザインの自由度も確保できるため、多彩な外観を実現するのにも適しています。
その一方で、SRC造の施工には高度な技術力が要求されるのが悩ましいところ。 鉄骨とコンクリートの一体化には、緻密な施工管理が欠かせません。 そのため、建設コストが割高になりがちなのが現状です。 工期も長めになりがちなため、スケジュール管理にも注意が必要となります。
以上、マンションの3つの構造形式について概説しました。 それぞれに一長一短があるのが実情。 立地条件や建物用途、ライフスタイルなどを総合的に判断しながら、最適な構造を選択することが肝心だと言えるでしょう。 安全性と快適性、デザイン性のバランスを見極めつつ、長く愛着の持てる住まいを見つけていただければと思います。
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まとめ
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以上、マンションの基礎工事について、基本的な知識をわかりやすくまとめてみました。 マンション選びにおいて、基礎は意外と見落としがちなポイント。 しかし、建物を支える重要な役割を担う基礎だけに、しっかりとチェックしておく必要があります。
基礎の種類や工法、施工の流れについて、基本的な理解を深めておくことは大切。 適材適所の基礎が、適切な施工で造られているかどうか。 設計図書などを見ながら、確認しておくことをおすすめします。
とりわけ、施工会社選びは慎重に行いたいところ。 安全性と耐久性を兼ね備えた基礎づくりのためには、豊富な実績と高い技術力を持つ業者が欠かせません。 品質管理の徹底ぶりや、実際の施工事例なども参考にしながら、信頼できる会社を選ぶことが肝要です。
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