今、賃貸アパートを建てる土地オーナーが増えています。
収益物件としてアパート経営を始めたいけれど、いざ建築となると、どんな業者に頼めばいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
建築プランの提案から施工、さらには完成後の入居者募集や管理まで一貫して請け負ってくれる「アパート建築会社」に丸ごと依頼することが一般的となっている現代。
しかし、建築費を少しでも抑えたい、こだわりの仕様やデザインを実現したいなどの理由から、実際の建築工事を「下請け業者」に依頼するケースも少なくありません。 大手ハウスメーカーや地元工務店など、アパート建築を手掛ける会社は全国に数多くあります。
そこで本記事では、アパート建築を下請けに発注するメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
業者選びの基礎知識から選定のポイント、さらにはアパート建築の将来トレンドまで、土地活用でアパート経営を検討中の方は必見の内容となっています。
アパート建築を下請け(一棟請け、丸投げ、施工店)に依頼する前に知っておくこと
アパート建築を下請けに依頼する際は、事前に押さえておくべきポイントがいくつかあります。
ここでは、建設地の条件や予算、完成希望時期などの基本情報、建築したいアパートの用途や間取り、施工業者の選定方法について詳しく解説します。
①アパート建設地の条件などの基本情報や、予算、完成希望時期を決める
まずは、アパートを建てる土地の条件を確認しましょう。 土地の形状や広さ、接道状況、建ぺい率、容積率など、建築に関わる基本的な情報をまとめておく必要があります。
また、アパート建築にかけられる予算を決めるのも重要なポイントです。
単に建築費だけでなく、設計料や各種手数料、土地の整地費用、外構工事費など、トータルでどのくらいの費用が必要になるのかを把握しておきましょう。
さらに、アパートを完成させたい時期も決めておく必要があります。特に、入居者募集のタイミングを考えると、完成時期は重要です。
春や秋の入居シーズンに合わせるのがベストですが、工期や建築スケジュールを考えると、かなり前倒しで計画を立てる必要があるでしょう。
- 建設地の条件:土地の面積、地形、アクセス、周辺環境など、建設地の特性を詳しく調査し、建築計画に 反映 します。
- 予算:建築全体にかかる費用は、資金計画に直接影響します。予算内で 最大限の結果 を生み出すために、徹底したコスト管理を行います。
- 完成希望時期:納期までのスケジュールを明確にし、それに基づいて各段階の期日を設定することで、 効率よく進行 することができます。
②建築したいアパートのターゲットや間取りを明確にする
次に、建築するアパートの具体的なイメージを固めていきます。 ファミリー向けか、単身者向けか、ワンルームが中心か、1LDKや2LDKといった広めの間取りを設けるかなど、アパートの用途や間取りを明確にしていきましょう。
また、駐車場の設置台数や、エレベーターの有無、オートロックの導入など、付帯設備についての検討も必要です。 共用部分の設計によって建築費が大きく変わるので、優先順位をつけながら取捨選択していきます。
- 用途:アパートが賃貸用、学生専用、高齢者向けなど、 特定のターゲット を持つかどうかで、設計の方向性が変わります。
- 間取り:居住者のニーズに合わせて、 居心地の良い空間 を提供する間取りにしましょう。例えば、単身者向けの1Rや、ファミリー向けの2LDKなど、 市場調査 を行い、それをもとに決定します。
③下請けとなる施工業者を選定する
最後に、実際に建築を請け負ってくれる下請け業者(施工店)を選定します。
候補となる業者がある程度絞れたら、それぞれの会社の施工実績や技術力、金額面での提案力などをチェックしていきましょう。
また、資材の調達ルートの広さや職人の手配力なども重要です。 工期が迫ってから人手や資材が足りなくなると、納期に影響が出ることも。
きちんとしたサポート体制があるかどうかも見極めるポイントと言えます。
- 実績と評判:過去のアパート建築実績や業界内での評判を確認し、その業者が品質面で 信頼できるか を判断します。
- 専門性と技術力:建築したいアパートに必要な 専門知識と技術 を持っているか、具体的な事例と合わせて確認します。
- コミュニケーション能力:アパート建築をスムーズに進めるためには、業者との間で 適切なコミュニケーション が取れるかが重要です。
アパート建築を請け負う3つの業者の特徴
ここでは、アパート建築を請け負う業者のうち、主に ハウスメーカー、工務店、そして 建設会社 という3つの業者の特徴についてご紹介します。
それぞれの特徴を理解して、自分のニーズに合った業者選びをしていきましょう。
以下の表は、これら三者の主な特徴を比較したものです。
ハウスメーカー | 工務店 | 建設会社 | |
---|---|---|---|
規模 | 大手が中心 | 中小零細が中心 | 大手から中堅まで |
対応エリア | 全国展開 | 地域密着型 | 全国または広域 |
建築実績 | 戸建住宅が主力 | 注文住宅や小規模物件 | あらゆる建築物 |
技術力 | 標準的 | 得意分野に特化 | 高度な技術あり |
価格競争力 | やや高め | 比較的安価 | 工事規模による |
下請け業者の管理 | 自社で一括 | 施主が選定 | 自社または施主と協力 |
①ハウスメーカー
ハウスメーカーは、全国規模で事業を展開する大手企業が中心です。
もともとは戸建住宅の建築を主力としているため、木造軸組み工法や2×4工法など、低層アパート向けの施工技術には定評があります。
標準化された工法やパッケージプランを採用しているため、施工の手際や品質は安定しています。
その分、自由度は低くなりますが、変更箇所を最小限に抑えることで、コストダウンを図ることができるでしょう。
アパート建築の実績が豊富なら、下請け業者の手配から品質管理、工程管理まで社内で完結できるのも大きなメリットです。
諸手続きや税務処理などのアドバイスも得られるので、アパート経営が初めての方でも安心です。
しかし、その分コストもかかってきてしまいますので、予算が限られているプロジェクトで依頼するのは難しいでしょう。
- 強み:全国どこでも一定以上の品質を提供。
- 弱み:カスタマイズの自由度が限られ、コストが高め。
②工務店
地域密着型のビジネスを展開する中小零細の工務店も、アパート建築の施工先として選択肢に入ります。
技術力は高いものの小規模な業者が多いため、比較的安価な価格設定が期待できるでしょう。
ただし、一般的な住宅を専門とする工務店の場合、アパート特有の設計条件や性能基準に対応しきれないケースもあります。
実績豊富な大工の棟梁がいるかどうかも重要なポイントです。
また、狭小地での施工や、意匠デザインへのこだわりなど、工務店ならではの得意分野も見極めましょう。
物件規模が小さい場合、大手のハウスメーカーが請け負ってくれないケースも考えられます。
地域に根差した工務店なら、小回りの利く対応が望めるでしょう。
とはいえ、下請け業者の手配は施主側の責任で進める必要があります。 諸経費がかさむ点は注意が必要です。
- 強み:顧客の細かい要望に応じた柔軟な対応が可能。
- 弱み:資金力や技術力に限界がある場合が多い。
③建設会社
建設会社とは、マンションや商業ビル、公共施設など、大規模な建築工事を請け負うゼネコンを指します。
RC造や鉄骨造の中高層アパートであれば、建設会社に依頼するのもひとつの選択肢と言えるでしょう。
高度な施工技術を持つ専門工事店とのネットワークを持つのが建設会社の強みで、企画や設計、施工、監理までワンストップで依頼できる点も魅力とです。
ただし、ゼネコンの下請け業者は階層が深いため、工事の手配や管理には気を配る必要があります。
建設会社への発注は、数億円規模の工事が中心となり、工事金額が高額になりがちなのは避けられません。
建設会社の中にも賃貸住宅の施工を得意とする企業はあるので、 物件の規模や予算に合った業者選びが重要です。
- 強み:複雑で大規模なプロジェクトにも対応可能な高い技術力。
- 弱み:小規模プロジェクトではコストパフォーマンスがよくないことが多い。
アパート建築会社を選ぶ5つのポイント
アパート建築を依頼する際は、施工会社の選択が非常に重要です。
ここでは、業者選定の際に重視したい5つのポイントを解説します。
実績と信頼性、専門性と技術力、費用と予算管理、納期遵守と柔軟性、コミュニケーションと協力体制の観点から、慎重に検討していきましょう。
①会社の信頼性とアパート建築の実績
まずは、候補となる建築会社の施工実績を確認します。
ホームページ等で過去の施工事例を確認し、アパート建築の経験が豊富な会社を選ぶことが大切です。
特に、自分が建てたいアパートと同じタイプ(木造・RC造など)や同規模の物件の実績があるかどうかがポイントになります。
また、実際にその会社が手掛けた物件を見学させてもらうのも良いでしょう。
外観や内装の仕上がり具合、使われている設備や建材の質感など、現地で細部までチェックすることで、施工レベルの高さを確認できます。
オーナー様の評判や入居率の高さも、信頼できる目安になるはずです。
★確認ポイント★
- 過去のアパート建築の成功例
- 業界内での評判 や 受賞歴
- 建設業許可 の有無や 保有資格
②工法や構造における専門性と技術力の高さ
建築会社の専門性や技術力も見極めるべきポイントです。
前述の通り、木造軸組み工法を得意とするハウスメーカーと、RC造を専門とするゼネコンでは、アパート建築の施工力は大きく異なります。
どのような工法や構造を専門としているのか、HP等で情報収集しておきましょう。
また、その会社が強みとしているオリジナル工法や特許技術があるかどうかも確認しておきたいところです。
設計力や企画力の高さ、デザイン性の優れた物件を手掛けているかどうかも大切なポイント。
多様な建築ニーズに応える柔軟性や提案力が認められることは、高い技術力の証と言えるでしょう。
★確認ポイント★
- 使用する 建材の質 とその 環境影響 を考慮しているか
- 最新の建築技術 と 施工方法 に対応しているか
- 専門的な訓練 を受けたスタッフや技術者を雇用しているか
③コストパフォーマンス
アパート建築には、相応の費用がかかるのが一般的です。
建築会社選びの際は、各社から提示される見積もり金額を比較検討し、予算内に収まるかどうかを慎重に見極める必要があります。
しかし、単に安ければ良いわけではありません。
建物の性能や仕様、設備グレードなどを同条件で比べた上で、コストパフォーマンスの優れた提案を選ぶことが重要です。
資材の高騰などにより、着工後に建築費が予算オーバーするケースも少なくないでしょう。
契約前の段階で、増額となる可能性がある項目を洗い出し、対策を検討しておく必要があります。
予算管理に長けているかどうか、建築会社の姿勢を見極められるのがベストです。
★確認ポイント★
- 明確な見積もり を提供しているか
- 追加費用や予想外の出費に対する 対応策 があるか
- 予算内での最適な資材選定 と 施工方法 を提案できるか
④納期遵守率の高さと柔軟な対応力
アパート建築では、竣工日や入居開始日が遅れると、大きな損失につながりかねません。
工期は天候などの影響も受けやすいため、余裕を持ったスケジュール管理が求められます。
納期を確実に守ってくれる建築会社を選ぶことが肝心だと言えるでしょう。
とは言え、工事中にどうしても変更や修正が発生することもあります。
突発的なトラブルにも臨機応変に対応し、柔軟にスケジュールを調整してくれる建築会社であることも重要なポイントです。
実績豊富で、信頼できる下請け業者とのネットワークを持っているかどうかも確認しておきましょう。
★確認ポイント★
- プロジェクトのスケジュール遵守率 の高さ
- 予期せぬ問題が発生した際の 対応策 と 柔軟性
- 効率的な プロジェクト管理能力
⑤コミュニケーションのとりやすさ
最後に、施主とのコミュニケーションや協力体制も欠かせない視点です。
定期的な進捗報告会や、工程に応じた打ち合わせなど、綿密な情報共有ができる体制が整っているかどうかがポイントになります。
些細なことでも、疑問や要望があれば、いつでも気軽に相談できるような雰囲気も大切です。
建築のプロとして的確なアドバイスをくれるのはもちろん、金融機関との折衝や入居募集の手法など、アパート経営のノウハウも提供してくれる建築会社が望ましいでしょう。
★確認ポイント★
- 定期的なミーティング と情報共有の機会を設けているか
- プロジェクトに関わる全ての 関係者との連携 を保つ能力があるか
- 顧客の要望に応じた柔軟な 計画の調整 ができるか
これらの5つのポイントをもとに建築会社を選んで、アパート建築をスムーズに進行しましょう。
下請けに依頼する4つのメリット
アパート建築を下請けに依頼するメリットは大きく4つあります。
2024年問題への対応、生産性の向上、協力関係の強化、専門技術の活用です。 それぞれのメリットについて詳しく解説していきましょう。
①2024年問題に対応
2024年問題とは、2024年4月までに建設業が改めなければならない労働環境についての問題です。
下請け業者を活用することで、 人材不足を防ぐ ことができ、 長時間労働 を強いることもなくなります。
働きやすい環境づくりをすることで、業界全体の発展や将来的な人材不足のリスクを軽減することにも繋がります。
- 労働環境の是正: 人材を確保することによって、一人一人の労働時間を短縮することができる。
- 業界全体の発展: 働きやすい環境づくりをすることで、将来的な人材不足を防ぐ。
②生産性向上・工期短縮
建設現場の生産性向上も、下請け発注のメリットのひとつです。アパート建築では、多種多様な専門工事が同時並行で進められます。
それぞれの工程を効率的に管理し、スムーズに連携させることが、工期短縮とコスト削減に直結します。
下請け業者は、自社の得意分野に特化することで、作業の効率アップを図ることができます。
施工図通りに正確に仕事を進め、手戻りや手直しを減らすことで、生産性の向上が期待できるのです。
また、元請けの建築会社は、下請け業者の力を借りることで、全体の工程管理や品質管理に注力できます。
そうして結果的に現場全体の生産性が高まるのです。
- 納期短縮: 各チームが得意とする分野に専念することで、効率アップを図る。
- 品質の向上: 専門技術をもつ人が対応することで、高い品質を実現する。
③下請けとの信頼関係の強化
下請け業者との良好な協力関係を築くことも、大きなメリットと言えます。
アパート建築では、工事の各工程がそれぞれの下請け業者の手で進められていきます。 元請けの建築会社は、いわば「指揮官」として、全体の采配を振るう立場にあります。
下請け業者とのコミュニケーションを密にし、現場の状況や課題を共有することが何より重要です。
ギブアンドテイクの精神で、互いの立場を尊重し合える関係性を築くことが理想的でしょう。
下請け業者が持つ高い技術力を引き出し、より良い建物を目指して協力していく。
アパート建築を通じて培われた信頼関係は、次のプロジェクトにも生かされていくはずです。
- 信頼関係の構築: 多くの案件を共にすることで、相互の信頼をもとに協力体制を築くことができる。
- リソースの共有: 互いのリソースを有効活用することで、新たなビジネスチャンスを生み出す。
④アパート建築における専門的なノウハウの活用
前述の通り、下請け業者の強みは、専門分野における高い技術力にあります。
アパート建築では、多彩な専門工事が組み合わさって、ひとつの建物が完成します。
それぞれの下請け業者が持つ専門的なノウハウや技能を存分に活用できるのが、大きなメリットと言えます。
例えば、杭打ち工事や型枠工事、鉄筋工事、コンクリート工事など、基礎に関わる専門技術は非常に重要です。
また、設備工事や内装工事、左官工事など、入居者の快適性に直結する分野の施工品質も欠かせません。
それぞれのプロフェッショナルが、持ち味を発揮することで、高品質なアパートづくりが可能になるのです。
新工法や新素材の採用など、各分野の最新技術を積極的に取り入れていくことも重要です。
下請け業者との連携により、独自の付加価値を生み出していくことができるでしょう。
- 専門的なノウハウの活用:それぞれの下請け業者の専門分野における技術力を活用できる。
- 最新技術の導入:各分野における新しい工法や素材を用いることで、独自の付加価値を生み出せる。
下請けに依頼する4つのデメリット
アパート建築を下請けに依頼する際のデメリットとして、品質管理の複雑化、コミュニケーションの課題、スケジュールの遅延、費用の管理の4つが挙げられます。
それぞれのデメリットについて、具体的に解説していきましょう。
①品質管理の複雑化
下請け業者に施工を依頼する際の最大のデメリットは、品質管理が複雑になることです。
元請けの建築会社は、多数の下請け業者を束ねながら、全体の工程や品質を管理していく必要があります。
下請け業者ごとに、技術力や作業効率にバラつきがでてしまうことは避けられず、中には、手抜き工事や不具合を生じさせる業者もいるかもしれません。
一つ一つの工程の品質を確認し、是正指示を出していくのは容易なことではないでしょう。
元請けの管理者は、建築基準法や施工図書通りに下請け業者が施工しているかどうかを常にチェックする必要があります。
問題があれば、すぐに改善を求めるなど、監督者としての責任は重大。 品質管理の複雑さゆえに、管理コストが増える恐れもあるのです。
- 標準化された品質の欠如: 下請け業者ごとに異なる作業基準や品質観が存在することがあるので、事前にしっかり確認する。
- 管理能力の必要性: 複数の下請け業者を管理する場合、一貫した品質を保証する上で依頼主側が全体の管理を徹底する。
②意思疎通が取りづらい
下請け業者が多数になればなるほど、コミュニケーションの課題は大きくなります。
元請けの建築会社は、全ての下請け業者と緊密に連絡を取り合い、情報共有を図りましょう。
しかし、業者ごとに企業文化や働き方が異なるため、意思疎通がスムーズにいかないケースも少なくありません。
特に、施工内容の変更や手直しが生じた際の対応は難しい課題です。
下請け業者の中には、自社の都合を優先するあまり、他の業者との調整を怠るところもあるでしょう。
結果として、手戻りや工期のロスを招いてしまう恐れがあります。
元請けの建築会社には、全ての下請け業者をまとめ上げ、円滑にコミュニケーションを進めていく力量が求められます。
下請け業者の協力が得られなければ、現場の生産性は著しく低下してしまいます。
- 情報の伝達遅延・誤認: 複数の人が現場との仲介に入ることで、正確な情報が適切なタイミングで伝わらないことがあるので、発信される情報が正確に全体に伝わるような仕組みづくりが必要。
- 非効率な意思決定: コミュニケーションが不足すると、迅速な問題解決や意思決定が困難になることがあるので、適切なコミュニケーションを心がける。
③各工程における納期の遅延とスケジュール調整
アパート建築では、多数の専門工事が同時並行で進められるため、一つの工程でも遅れが生じると、全体のスケジュールに影響を及ぼします。
下請け業者が多数になればなるほど、スケジュール管理は複雑になります。
下請け業者の都合で、資材の搬入が遅れる、人手が足りない、他の現場との兼ね合いで工程が止まってしまうなど、様々なトラブルが起こり得ます。
元請けの建築会社は、下請け業者の状況を常に把握し、遅延を未然に防ぎましょう。
また、下請け業者間の工程の引き継ぎがスムーズに行われないことで、全体の工期が遅れてしまうケースもあります。
元請けの建築会社には、緻密なスケジュール管理と、下請け業者に対する強いリーダーシップが求められるのです。
- 連鎖的な遅延: 初期段階で遅延するとその後のの工程にも影響が出て、計画された納期を過ぎてしまうことがあるので、進捗管理の共有は不可欠。
- コスト増加: アパート建築プロジェクト全体の遅延すると、予定外の支出が発生する可能性があるので、綿密な計画を立てる。
④煩雑なコスト管理
下請け業者への支払いを適切に管理することも、元請けの建築会社の重要な役割です。多数の下請け業者に対して、出来高に応じた支払いを遅滞なく行う必要があります。
しかし、下請け業者の見積もりが甘かったり、追加工事が発生したりすることで、当初の予算を上回ってしまうことがあります。
元請けの建築会社は、施主に対して予算内で工事を完成させる責任があり、 下請け業者のコスト意識の低さが、そのまま建築費の増大につながってしまうのです。
下請け業者に対しては、適正な価格での見積もりを求め、過剰な費用の請求を抑制していく必要があります。
また、下請け代金の支払い条件をしっかりと定めておくことで、トラブルを防ぐことも大切です。
費用管理の難しさは、下請け業者を多用するアパート建築の宿命とも言えるでしょう。
- 見積もりの正確性: 最初の見積もりが実際の作業内容やコストを正確に反映していない場合、予算を超える可能性があるので、発注前にしっかりとすり合わせをする。
- 予算管理の複雑化: 複数の下請け業者に発注することで複雑化し、予算の透明性が低下することがあるので、細かく把握する。
アパート建築の将来トレンド
アパート建築の将来を見据えると、シェアリングエコノミーの浸透、多世代共生型アパートの増加、スマートホーム技術の統合など、いくつかの注目すべきトレンドが浮かび上がってきます。
それぞれの動向について詳しく解説していきましょう。
①シェアリングエコノミーと住宅市場
近年、シェアリングエコノミー(共有経済)の考え方が社会に浸透してきました。
モノやサービスを個人間で融通し合うことで、資源の効率的な活用を図るというものです。
住宅市場においても、空き部屋のシェアや、コワーキングスペースの共同利用など、新しい住み方が広がりつつあります。
アパート建築においても、シェアリングエコノミーの要素を取り入れた物件が増えてくるでしょう。
例えば、居住者同士が交流できるようなコミュニティスペースを設ける、宅配ボックスや自転車置き場などの共用設備を充実させるなど、入居者の利便性を高める工夫が求められます。
また、家具や家電、日用品などをシェアできるサービスを導入することで、入居者の初期費用を抑えられるというメリットもあります。
アパートの共用部分を有効活用し、入居者同士のコミュニケーションを促進することは、長期的な入居率の向上にもつながるでしょう。
②多世代共生型アパートの増加
少子高齢化が進む日本では、多世代が支え合って暮らすことのできる住環境の整備が急務となっています。
核家族化が進む一方で、高齢者の単身世帯が増加しており、コミュニティの希薄化が問題視されているのです。
そうした中で注目されているのが、多世代共生型のアパートです。
子育て世帯と高齢者世帯が、同じ建物内で暮らすことで、互いに助け合える関係性を築くことができます。
子育て支援や高齢者の見守りなど、入居者同士が支え合うことで、安心して暮らせる環境を整えることができるのです。
多世代共生型アパートでは、バリアフリー設計や、子育て支援施設の併設など、各世代のニーズに配慮した建築計画が求められます。
コミュニティスペースやガーデニングスペースを設けることで、入居者同士の交流を促進することも大切です。
子育て世帯と高齢者世帯が混在することで、アパートのコミュニティに多様性が生まれ、活気ある住環境が実現するでしょう。
③スマートホーム技術の統合
IoTやAIなどの技術革新により、住宅のスマート化が急速に進んでいます。
アパート建築においても、スマートホーム技術を積極的に取り入れることで、入居者の利便性や快適性を高めることができるでしょう。
具体的には、スマートロックやスマートキーによる入退室管理システム、スマートスピーカーや家電の音声制御、室内環境のセンシングと自動制御など、様々なスマートホーム機能の導入が考えられます。
入居者がスマートフォンひとつで、アパートの各種設備を操作できるようになれば、利便性は大きく向上するはずです。
また、エネルギー管理システムや防犯カメラシステムなど、建物全体の管理にもIoT技術を活用することで、オーナーの負担を軽減することができます。
設備の遠隔監視や、トラブルの早期発見など、効率的な管理業務ができるようになります。
今後は、アパートの企画段階から、スマートホーム技術の導入を視野に入れた建築設計が求められるでしょう。
入居者のニーズを的確に捉え、最新技術を積極的に取り入れていくことが、アパート経営の差別化につながります。
スマートホーム技術の可能性を追求し、次世代のアパート像を描いていくことが重要です。
まとめ
アパート建築を検討する際、適切な施工会社選びが非常に重要です。
建築工事を一括で請け負う建築会社に依頼するのが一般的ですが、コストダウンや自由度の高いプランニングのために、下請け業者に建築を依頼するケースも増えています。
下請け発注の際は、まず建設地の条件や予算、建物用途などの基本情報を明確にしましょう。
その上で、施工実績が豊富で信頼性の高い業者を選定します。 専門性や技術力、コスト管理能力、コミュニケーション力など、様々な観点から業者を比較検討することが大切です。
アパート建築を下請けに依頼するメリットとしては、2024年問題への対応、生産性の向上、協力関係の強化、専門技術の活用などが挙げられます。
一方で、品質管理の複雑化、コミュニケーションの課題、スケジュールの遅延、コスト管理の難しさなど、下請け発注特有のデメリットにも留意が必要です。
イー・スマイルは足場屋からスタートし、今では3,000社以上の取引数と年間6,000件以上の施工を行っています。
今回の記事でもあるとおり、設計会社様、ハウスメーカー、不動産、デベロッパー様などの様々なお取引先様から一棟請けの施工依頼を受けてきました。
笑顔を創造する家、CREILEシリーズをはじめとした分譲住宅から、お客様のニーズに合わせたセミオーダー住宅まで、幅広いサービスを提供しています。
また、国宝犬山城の足場工事など、多数の実績もございます。
コストや弊社の施工体制、実績等ご紹介いたしますので、お気軽にお問い合わせください。